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脳腫瘍のMRI手術

脳腫瘍のMRI手術

脳腫瘍(しゅよう)の一種の「神経膠腫」(しんけいこうしゅ)

脳腫瘍(しゅよう)の一種の「神経膠腫」(しんけいこうしゅ)は脳腫瘍の約30%を占め、最も多いいです。がんの組織が周囲の脳にしみ込むように広がるため、正常な組織との境界が不鮮明で、手術ですべてを摘出するのは困難でした。そのため、手術後に放射線治療や抗がん剤治療を行うのが一般的でした。

腫瘍の95%以上を切除しないと、再発する可能性が高まります。しかし、無理に切除すると、正常な脳神経を傷つけ、体のまひや視野狭さく、会話が難しくなる失語症などが起こる恐れがあります。そこで、2000年に東京女子医大病院が手術室に導入したのが、MRI(磁気共鳴画像装置)でした。


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MRIを使った手術

MRIの画像では、水分量の多い神経膠腫は白く写り、肉眼で見分けるのが難しい腫瘍と正常組織の境界部分も、はっきり区別できます。手術中にMRIを撮り、安全を確認しながら、腫瘍を最大限切り取ります。

同病院の専用手術室では、患者を手術ベッドごとMRI装置に乗せます。撮影は、開頭して腫瘍の切除にとりかかる直前、腫瘍切除後、頭の皮膚を閉じた後と、少なくとも計3回行います。

2回目の画像を見て「まだ取れる」と判断された時は、さらに切除を行い、撮影を追加しながら手術を進めます。撮影時間は1回につき約30分です。MRIの画像などをもとに、医師が持つ切除器具の先端が脳内のどこにあるか感知、運動神経などに近づくと警告音が鳴る仕組みも導入して、安全性を高めています。

東京女子医大病院は、これまで620例に実施、約70%が神経膠腫でした。この腫瘍は悪性度の低い順にグレード1~4に分けられ、5年生存率は、グレード2が90%(全国平均70%)、グレード3が70%(同40%)、グレード4が20%(同10%)と、全国平均と比べると向上しました。

腫瘍の大部分を取り除けるようになり、グレード2では、手術後に放射線治療を行わないで済むケースが増えました。手術中の出血もすぐ発見でき、手術後に出血が分かって再手術する例も減りました。同病院脳神経外科講師の村垣善浩さんは「この方法だと医師の技術向上も早いです。実績を積み重ね、普及を目指したい」と話しています。


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関係医療機関

東京女子医大病院

東海大学付属病院

名古屋大学付属病院

名古屋セントラル病院

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