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うつ病

うつ病の最新治療法


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うつ病と認知(行動)療法

認知療法とは

「認知療法」は、うつ病の治療のために開発された心理療法です。認知療法を説明する前に実際にヨーロ ッパで行われた認知治療についてお話します。

認知療法を受けた患者は30代の男性でした、この男性に対し認知療法を行うカウンセラーが、まずうつ病 の原因を突き止めるために、男性の日常の生活や人間関係などについて話しをして行きます。話をして行く うちに、この男性が離婚をしていて、別れた妻と一緒に暮らしている4才の娘と月に数回会っていましたが、 その男性は将来、娘と会うことが出来なくなるのではと、自分で勝手に決めてしまい、そして極度に心配し てしまい、この事が原因でうつ病のなった事にカウンセラーが気が付きました。

これに対してカウンセラーは現在、子供と会うことが出来ていて、別れた奥さんも将来、子供と会う事を 許さないと言っていない事などを指摘して、男性の考え方を消極的なものから、積極的で建設的なものに導 いて行きました。認知療法のカウンセリングを終えた男性は、晴れ晴れとした表情で、「心が軽くなった。 」と感想を述べていました。これが具体的な「認知療法」です。

認知療法の概念

認知療法の「認知」とは人が物事に対しての、見方を指します。同じ事でも人によって見方や感じ方が違 ってきます。物事を冷静に客観的に分析できる人は少なく、ほとんどの人は自らに不都合な認知をしてしま い、その結果として不安やストレスを過度に湧き上げて、うつ病などの精神病を引き起こしてしまうのです 。

アメリカの精神学者のアーロン・ベックやアルバート・エリスは、人間の感情が精神病の原因では無く、 物事の対する人間の否定的な誤った見方(認知)が、精神病の原因であると学会に発表しました。この否定 的な認知の仕方を修正することで、患者を治療していくのが「認知療法」です。

先に述べたヨーロッパの男性の例ですと、現在娘に会えているし、将来娘に会わせ無いと言われていない のに、男性の間違った認知により、娘に会えなくなると極度に心配してうつ病を引き起こしたのです。

誤った認知の例として以下のことが挙げられます。

  • 物事を見るときに、「白か黒」「100%か0」という両極端の見方をしてしまう。
  • 具体的な根拠もないまま、勝手に結論を急ぎ、物事を否定的に考えてしまう。
  • 自分の短所や失敗を過大に評価して、逆に自分の長所や成功を過小評価する。
  • 1つの良くない出来事を根拠に、「いつも・・」「決まって・・」と、良くない事が、いつも必ず自 分に起きると考えてしまう。
  • 自分の感情を根拠に、現実そのものに反映してしまうこと。
  • 問題が起きた時に、さまざまな要因があるのにかかわらず、自分が原因だと責任を感じて、自分を責 めてしまう。
  • たった1つの悪いことだけを捉えて、他の良い事を無視してしまうこと。
  • 肯定的な出来事を、無視や軽視をして、悪い出来事にすり替えてしまう。

この様に習慣付けられた、ゆがんだ悪い認知を柔軟的で客観的な認知へと修正して行くのが、認知療法で す。先ほどにヨーロッパの男性の例ですと、カウンセラーが男性の娘に会えなくなるといった、誤った考え 方を指摘して、男性の考え方を肯定的で客観的なものにと、変えていきました。

認知療法の方法

まず初めにカウンセラーは患者との面接や行動記録から、患者がどの様な誤った認知をしているかを調べ ます。また患者の治療への意欲が大切なため、改善目標を設定して患者の治療への動機付けをおこないます 。そこからカウンセラーは患者との会話の応答から、誤った認知を少しずつ修正して行くのです。

特に重要なのは患者の日常での生活への応用で、修正した認知を現実の生活に応用していく訓練をしてい き、修正した認知を確実に身に着けていきます。

「分子整合栄養医学」(オーソモレキュラー療法)による躁うつ病(双極 性障害)治療

躁うつ病(双極性障害)とは

躁うつ病は、エネルギー不足のうつ状態からエネルギーに満ちあふれた躁状態に突然、変化し、ある期間 をへて、再び、うつ状態にもどるというパターンをくり返します。その特徴は、発症と再発が、予測できる 一定のサイクルで起こることです。

躁とうつをくり返すといっても、境目がはっきりしている人とそうでない人がいますし、症状や周期も人 によっていろいろです。躁とうつの期間もさまざまですが、一般に躁の方が短いようです。

ただし、躁状態からうつ状態への1サイクルの時間が、24時間以内に再発するものは低血糖症で、ここ で問題にしている、躁うつ病ではありません。

躁うつ病には、1型と2型の二つがあります。1型の方が、躁が激しいものです。この躁の強さによって 、双極1型、双極2型という分類をされます

1型の躁は、大体の場合、非常に気分がよく、やる気もあり、自分では絶好調のつもりで新しいことを始 めます。しかし、すぐ気が変わり、いろいろなものに手をつけるので、実際の仕事ははかどりません。また 、ささいなことで激怒します。

人によっては、「自分は選ばれた特別な人間だ」とか、「自分はすごい超能力がある」などの誇大妄想、 幻覚・幻聴などが出たりします。

2型の躁は社会生活を営めるくらいの躁(軽躁)で、激しく怒ったり妄想が出たりはしません。眠らなく ても平気で、気分は高揚し、まわりとも活発に交流し、一見何も問題ないように見えます。しかし、「軽躁 」は立派な病的状態なので、注意深く見ると、「ふだんの本人」よりも少し違った感じがします。

本人も、単純に楽しいわけでは決してなく、イライラが募ったり疲れがたまったりしています。はた目か らは楽しそうに見えても、実はかなりのプレッシャーがかかり、無理をしています。1型ほどではなくても 、新しいことを始めたり、ほしいものを次々と買ったり、目移りしたり、話が飛んだり、衝動的だったりし ます。

「分子整合栄養医学」からみた躁うつ病の原因

「分子整合栄養医学」(オーソモレキュラー療法)とは、身体のアンバランス・代謝を改善することによ り、脳と身体に可能な限り最適な生化学的環境を与える治療法のことです。それには、最適な食事と栄養治 療、つまり必要なビタミン、ミネラル、アミノ酸、酸素、ホルモン、必須脂肪酸など人体にもとから存在す る、天然の物質を利用して行います。

「分子整合栄養医学」からみた躁うつ病の原因は、

1.アセチルコリンの過敏

2.ビタミンB群と魚油の不足

3.バナジウムの過剰

の3つがあげられます。

アセチルコリン過敏が原因で発生する躁うつ病

NIH(アメリカ国立衛生研究所)の研究者は、躁うつ病者は、脳の記憶にかかわる伝達物質であるアセチル コリンに過敏であると報告しています。彼らは、アセチルコリンを受け取るキャッチャーである受容体に着 目したところ、躁うつ病者では、アセチルコリンの受容体が健常者にくらべ著しく増加していることを発見 しました。つまり躁うつ病者ではアセチルコリンが、はたらきすぎるのです。

アセチルコリンの過剰なはたらきを抑えれば、躁うつ病を改善できます。アセチルコリンのはたらきを妨 げる物質の1つは、だれでも脳内に微量に持っているリチウムです。これは、炭酸リチウム製剤として躁う つ病の治療に現在もっとも使われている薬です。しかし、リチウムによる治療には問題があります。

大量に摂取されたリチウムは、アセチルコリン受容体ばかりか、他の受容体のはたらきも妨げるため、気 分、感情、記憶に好ましくない影響を及ぼします。

たとえば、アメリカで行われた健常人を対象にした試験では、リチウムの摂取によって喜びや悲しみの感 受性が鈍くなることが報告されています。

わそれから、リチウムが記憶力を低下させることも判明しています。また、躁うつ病をやわらげるのに必 要とする大量のリチウムの摂取は神経ネットワークに有害で、多くの患者に身体の震えを発生させるばかり か、甲状腺の機能を低下させます。これによって代謝が弱まりエネルギー不足になるので、気分が落ち込ん だり、その反動で脳が興奮しすぎて、心が混乱してしまいます。

リチウムの大量摂取には、このような副作用がともないます。しかしリチウムの代わりに躁うつ病を治療 する物質して、タウリンというアミノ酸があるのです。タウリンは脳内でまるでリチウムのようにはたらき 、なおかつ安全な物質です。抑制性伝達物質のタウリンは、アセチルコリンのような興奮性伝達物質の効果 を相殺します。

しかも躁うつ病者の脳内では、タウリンレベルが極端に低下していることが判明しています。タウリン不 足は、甲状腺の機能を低下させ、眠気、うつ病などを引き起こしますが、この影響は男性よりも女性に大き く、たとえば、躁うつ病の発症率は女性が男性の2倍になっています。リチウムの代替に、1回500ミリ グラムのタウリンを1日3回摂取するのが効果的と思われます。

ビタミンB群と魚油の不足が原因で発生する躁うつ病。

躁うつ病者の80パーセントにビタミンB群の不足が見られます。しかも彼らの多くは、貧血気味で、ビ タミンB12や葉酸のレベルが低いばかりか、健常者にくらべて、脳を興奮させるセロトニンや記憶にかかわる アセチルコリンを適切に働かせるのに欠かせない、イノシトールの取り込み量も少ないです。

ビタミンB群は脳と身体でブドウ糖からエネルギーをATPの形で取り出す時に働く補酵素で、エネルギー生 産には欠かせません。ただし、ビタミンB群が脳ではたらくには、まず、オメガ3脂肪酸(魚油)を主成分と する軟らかい膜を通過し、神経細胞の内側に取り込まなければなりません。

では、脳内でのビタミンB群不足を引き起こす原因はなにか。それは最近、魚を食べる量が減り、神経細 胞の膜を硬くする、牛肉、豚肉、ソーセージ、ピザ、ファストフードからの飽和脂肪酸やマーガリンに含ま れる非天然型のトランス型脂肪酸の摂取量が増えてしまつたからです。このため、膜が硬くなり、神経細胞 が受け取る伝達物質やビタミンB群の量が限られてしまつたからです。

この結果、脳内でのシグナルの伝達に異常が発生してしまうばかりか、ビタミンB群不足のせいでエネル ギー欠乏になり、うつ病が発生することになります。しかし、オメガ3脂肪酸とビタミンB群を摂取すること で、脳内でのシグナルの伝達が正常化し、ビタミンB群の活躍によってエネルギーが脳に充満するので、うつ 病から脱却できるのです。

ここでいうオメガ3脂肪酸(魚油)は、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)のこと で、どちらも脳の神経細胞の膜や伝達物質の受容体の膜の成分ですが、サプリメントとして摂取した場合の 抗うつ効果は、DHAがEPAよりも高いです。これは、DHAのほうがEPAよりも脳の関所である血液ー脳関門を楽 に通過できることとよく一致しています。

バナジウムの毒性が原因で発生する躁うつ病

躁うつ病は、天然のミネラルであるバナジウムの過剰によっても発生します。一流医学雑誌の「ランセッ ト」や「イギリス精神科ジャーナル」には、躁うつ病患者の毛髪や血液中のバナジウムレベルが極度に高い こと、そしてバナジウムレベルの上昇によって、躁状態が引き起こされることが報告されています。

過剰なバナジウムが脳や身体にとっての有毒物質となっているのですが、幸いなことに、大量のビタミン Cの摂取によって、脳や身体が受けたダメージから回復できます。ビタミンCはバナジウムの毒性を軽減する のですが、このしくみはまだ解明されていません。おそらく、ビタミンCが電子をバナジウムに与え、バナジ ウムの酸化状態を下げることによって、その毒性が減少するものと推測できます。

それから、躁うつ病者のビタミンCレベルは、壊血病の発生する直前まで低下していることがあります。 ですので、ビタミンCの補給は必須です。この場合、1日に3-4グラムのビタミンCを3回に分けて服用す ることが推奨されます。

(注意:壊血病(かいけつびょう)はコラーゲン不足によって、血管が切れやすくなり、全身から出血す る病気です。この病気原因を調査している過程で、ビタミンCが発見されました。)

躁うつ病に効果効能があるサプリメント

タウリン

EPA DHA

ビタミンB群

ビタミンC

躁うつ病改善のワンポイント・アドバイス

タウリンは1回150mgを朝食後とタ食後、1日2回摂取してください。

EPA DHAは1回5ミリリットル(5g)を朝食後とタ食後、1日2回摂取してください。

ビタミンB群は1回250mgを朝食後とタ食後、1日2回摂取してください。

ビタミンCは1回300mgを朝食後とタ食後、1日2回摂取してください。

躁うつ病とうつ病は違う病気

躁うつ病とうつ病は似ていますが、まったく違う病気です。躁うつ病とうつ病では、症状が異なり脳内で の栄養バランスの物質も異なります。

うつ病はトリプトファン、フェニルアラニン、チロシンなどが不足しておこります。またうつ病とされて いる患者の内3分の1は、躁うつ病なのに、うつ病と誤診されていると言われていますので、注意が必要です 。

うつ病を客観的に診断できる「光トポグラフィー検査」(NIRS)

客観的なうつ病検査

患者さんの症状や家族への聞き取りなど、医師の主観的な判断が診断の中心となる精神科医療に、 客観的な検査を導入しようとの研究が進められています。

現在注目されているのが、群馬大精神科神経科准教授の福田正人さんらが取り組む光トポグラフィー検査 (NIRS)です。

近赤外線を用いて大脳表面の血液量を計ります。統合失調症やうつ病では、何かを考える時の脳の血流量 に特有の変化が表れる可能性があり、群馬大や国立精神・神経センター病院、東大病院など7施設で研究さ れています。

「光トポグラフィー検査」(NIRS)による診断

群馬大では、患者さんら約400人が研究に協力しました。健康な人では、ものを考えると脳の前 頭葉部分の血流が盛んになりますが、うつ病患者では変化が小さいことがわかりました。

うつ病と診断されていた40歳代の男性は、この検査を受けたところ、前頭葉の血流は健康な人並みに盛 んという結果でした。この患者さんはその後、他の症状などとも考え合わせ、環境に適応できないために心 身の不調が出る適応障害と、診断が見直されました。

また東大病院では、10歳代にうつ病と診断され、再発を繰り返した30歳代女性も、脳血液量の変化は 健康な人に近かったです。一方、心理検査では、計算や暗記は得意なのに、状況の変化、前後関係の把握が 苦手な傾向がわかりました。

この女性のうつ症状は、典型的なうつ病というより、苦手な業務のある職場で怒られた反応と考えられま した。このため、診察に当たった精神神経科医師の滝沢龍さんは、抗うつ薬を減らすことを提案、「複数の 業務が同時進行するといった、変化の激しい職場は避けた方がよいのでは」と助言しました。

しかし血流量の変化には個人差があり、差がはっきりしない場合もあります。そのため、この検査だけで 、うつ病かどうかわかるわけではありません。あくまで診断の補助という位置づけです。

「うつ状態の診断補助」として、先端医療を保険外で併用できる国の先進医療に認められています。精神 科分野では初の先進医療となります。

一方、統合失調症の患者さんでは、出された課題を考えている間の脳血流量の増加が小さいのに加え、課 題が終わった後に血流量が増えるという特徴がわかりました。福田さんは「脳の血流量が盛んになるタイミ ングがずれており、脳が非効率な働き方になっている」と話しています。

統合失調症でも、うつ状態の診断補助のように、先進医療に認められるにはさらに研究を重ねる必要があ りますが、「問診で統合失調症が疑われても、NIRSで違った特徴が出たら診断を見直すきっかけになり ます」と福田さんは話しています。

光トポグラフィーによる脳の血流検査

近赤外線を照射したり、脳からの反射を受信したりする帽子状の装置を頭にかぶり、問題が出され る前、問題に答えている最中、テスト終了後の脳血流の変化を測定します。脳血流の変化の程度が、モニタ ー画面に色の変化で示され、脳の部位によって脳血流が盛んになったかどうかわかります。

関係医療機関

群馬大学病院

東大病院

山口大学病院

国立精神・神経センター病院

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うつ病の認知(行動)療法

「分子整合栄養医学」(オーソモレキュラー療法)による躁うつ病(双極性障害)治療

耳鳴りの苦痛軽減治療TRT

耳鳴りの原因

「キーン」「ザー」といった雑音が聞こえる耳鳴り、半年以上続く慢性の耳鳴りは、重症だと不眠やうつ 症状を伴って日常生活に支障をきたします。

耳鳴りは、カタツムリの形をした内耳の器官「蝸牛」(かぎゅう)に加齢などで異常が起き、発生するこ とが多いとされています。完全に消す方法はなく、放置されることが多かったですが、苦痛を軽くする治療 「TRT」が試みられています。

苦痛軽減治療TRT

TRTはtinnitus retraining therapyの頭文字で「耳鳴り順応療法」と呼びます。1994年に米国で考案 され、ヨーロッパなどで普及して、日本では2002年に導入されました。

「耳鳴りの音自体は変わらないのに、急につらさが増すことがある。発生源は耳ですが、苦痛を悪化させ るのは脳内の現象と考えられます」と慶応大病院で難聴・耳鳴外来を担当する済生会宇都宮病院医長の新田 清一さんは話します。

私たちは普段エアコンなどの音や雑踏の音は意識しませんが、人ごみで自分の名前を呼ばれると、さほど 大きな声でなくても気づきます。「重要」「危険」と思われる音を脳が判断・選択しているのです。

耳鳴りは、疲れなどをきっかけに急に起きることが多いため、「耳が聞こえなくなるのでは」といった心 配が、不眠や冷や汗など自律神経系の反応を引き起こします。耳鳴りに気持ちが集中するほど、脳が「危険 信号」と過敏に反応する悪循環を生み、苦痛が増すと考えられます。

TRTの治療法は、2つの方法で行われます。

  1. 耳鳴りのメカニズムを知るカウンセリング
  2. 別の音を使って耳鳴りに慣れる音響療法

慶応大病院では、耳鳴りの強さや聴力などの検査後、耳鳴りがどうして起きるか、なぜ苦痛に感じるか、 といった知識を丁寧に説明します。患者の希望や状況に応じて臨床心理士の面談も行います。「受診者の約 8ー9割は軽症。説明を受けて納得し、苦痛が緩和される人が多い」と新田さんは話します。

重症患者には「音響療法」を行います。音を聞き続けることで、耳鳴りも「危険な音ではない」と脳に認 識させる目的です。ラジオの音や音楽でも効果はありますが、「TCI」という専用の機器があります。

補聴器に似た形で、ザーといった4種類の音が出ます。自分にあった音を、耳鳴りを完全に消さない強さ に調整、一日6-8時間装着します。1-2年は続ける息の長い治療です。保険はきかず、一台63000 円(税込み)しますが、同大では「苦痛が軽減した」「やや軽減」と答えた患者さんが、計約8割にのぼって います。

この治療を行う病院はまだ少なく、慶応大では患者の方が2-3か月待ちの状態といいます。耳鼻咽喉科 教授の小川郁さんは「耳鳴りをうまく忘れるには、静かな場所やストレスを避けること。TRT療法は、耳鳴り を小さくしたり消したりする治療ではないことを、理解して受けてほしい」と話しています。

関係医療機関 慶応大病院 済生会宇都宮病院

関連サイト シーメンス社(TRT療法を 行う医療機関を紹介)

「男性ホルモン」の低下による男性更年期障害「LOH症候群」

LOH症候群の症状

40歳を過ぎてから「なぜだかわからないけど、元気が出ない」、「会社に行っても、やる気がでない」などの症状に悩んでいる方、もしかするとそれは男性更年期障害のLOH症候群かもしれません。

男性更年期障害のLOH症候群とは、男性ホルモンの低下に伴う諸症状からなる症候群です。LOH症候群(Late-onset hypogonadism )は正式には「加齢性性腺機能低下症候群」と呼ばれています。

40代以降の男性に多く見られるLOH症候群は、実に多様な症状が起こります。

1.精神 心理症状

抗うつ 苛立ち 不安 神経過敏 意気消沈 疲労感

2.身体症状

筋力の低下 発汗 ほてり めまい 不眠 記憶や集中力低下 骨粗しょう症

3.性機能症状 

精力減退 勃起障害(ED)

LOH症候群の症状を鑑別するのに、よく使われるのが、ハイネマンの質問票です。各症状について、どれだけ当てはまるか、5段階で点数をつけます。合計点数が50点以上の場合は、LOH症候群の疑いがありますので、一度専門医に相談することをおすすめします。

ハイネマンの質問票

1. 総合的に調子が思わしくない。

2. 関節や筋肉の痛み

3. ひどい発汗

4. 睡眠の悩み

5. よく眠くなる。しばしば疲れを感じる。

6. イライラする

7. 神経質になった

8. 不安感

9. 体の疲労や行動力の減退

10.筋力の低下

11.憂うつな気分

12.絶頂期は過ぎた」と感じる

13.力尽きた、どん底にいると感じる

14.ヒゲの伸びが遅くなった

15.性的能力の衰え

16.早朝勃起の回数の減少

17.性欲の低下

ない=1点、軽い=2点、中程度=3点、重い=4点、非常に重い=5点

診断基準

17点~26点=なし

27点~36点=軽度の疑い

37点~49点=中度の疑い

50点以上  =重度の疑い

LOH症候群の治療を専門としているのは、泌尿器科や男性更年期外来などが中心となります。(すべての泌尿器科で対応しているわけではないので、事前に調べてから受診されることをおすすめします。)

LOH症候群の原因

LOH症候群の原因は「男性ホルモン」の低下です。男性ホルモンの代表は、主に精巣で作れられるテストステロンです。

テストステロンは、男性の体の中で様々な働きをしていることがわかってきました。

テストステロンの主な働きは性機能や筋肉の維持ですが、その他に脂肪蓄積抑制、認知機能、血管機能、骨の形成などがあります。

テストステロンが低下すると、内臓脂肪がたまります。また脳の認知機能をつかさどる海馬の神経シナプスの数が減少します。これにより、認知力やストレス耐性が低下して、抑うつ症状を引き起こすと考えられています。

このように、加齢に伴ってテストステロンが減少すると、筋力低下、性機能低下、認知機能低下、抑うつ、内臓脂肪の増加などの症状が起こると考えられているのです。

男性ホルモン低下の原因

男性ホルモンは、30歳頃をピークに徐々に減少します。人によりその量や減少の程度には、大きな個人差があります。

男性ホルモン減少の原因については、「加齢」による多様な体の変化が考えられています。また「加齢」以外の要因として考えられているものに、「ストレス」があります。40代から60歳代にかけては、男性の社会的責任とストレスが公私共々高まる時期です。

強いストレスが加わると、体には「ストレスホルモン」が分泌されます。ストレスホルモンも男性ホルモンも、その分泌の命令を出すのは、脳です。

このストレスホルモン分泌の命令を出すとき、脳の中では、男性ホルモンの分泌が抑制されることがわかっています。

また、男性ホルモンが減少すると、脳のストレス耐性が低下すると考えられているため、ストレス→男性ホルモン低下→ストレス耐性の低下→ストレス→男性ホルモンの低下という悪循環が起こってしまう恐れがあります。

こうしてLOH症候群となって引き起こされるうつ症状は、うつ病の治療だけでは治らず、LOH症候群の治療が重要と考えられます。

LOH症候群の最新治療

治療法には漢方療法などもがありますが、主な治療は男性ホルモン補充療法です。

LOH症候群および徴候を有する40歳以上の男性で、血液中の遊離型テストステロンが低下している場合、男性ホルモン補充療法が受けられます。

前立腺がんのある方や多血症の方などでは、ホルモン補充療法の対象からは除外されます。そのほか、ホルモン補充に伴う副作用が起こることも考えられますので、必ず専門医の判断のもとで行ってください。

LOH症候群の予防方法

1.適当な運動で、血液中のテストステロン量を増やす

ゆっくりスクワットをしたり、いすに座ってひざを胸に近づけたりと、毎日テレビを見ながらできる程度の

運動を3か月続けることで、効果が見られます。

2.脳で作るテストステロン

主に精巣で作られるテストステロンですが、最新の研究で、脳の中で合成されることがわかりました。テストステロンは、脳の中で認知機能に関わる重要な働きをしていると考えられています。

活発に脳を使うことで、脳のテストステロン合成を高められれば、認知力低下の予防やストレス耐性の維持が期待できると専門家は考えています。

3.たまねぎでテストステロンを増やす

たまねぎに含まれる含硫アミノ酸が、テストステロンの合成を誘導すると考えられています。

マウスに4か月間、たまねぎのエキスを与え続けたところ、血液中のテストステロン量が約2倍にアップするという研究報告があります。

たまねぎの中には、切って時間がたつと、含硫アミノ酸を分解してしまう酵素があります。その酵素は熱に弱いため、切ってすぐ加熱すれば、含硫アミノ酸の分解は最小限に抑えられます。テストステロンを増やす食べ方のポイントは、「切ってすぐ加熱すること」です。

そのほか、テストステロンの減少を防ぐには、ストレスをなるべくためない生活を送ること、睡眠を十分とることが重要です。1日7時間以上眠ると、男性ホルモンの低下を抑えることが出来るとされています。


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