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むくみ浮腫

むくみ浮腫の最新治療法


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リンパ浮腫の顕微鏡下リンパ管細静脈吻合術(ふんごうじゅつ)

リンパ浮腫

リンパ液の流れが滞り、手や足などにたまってむくむのが、リンパ浮腫です。乳がんや子宮がんの手術、放射線治療でリンパ管が傷つき、後遺症として起きることが多いですが、生まれつきリンパ液の流れが悪い人もいます。

むくみは、外見も不自然で、重くなると歩けなくなったり、皮膚が象の皮のように硬くなったりする場合があります。そのほか、体がだるい、疲れやすいなどの症状も現れます。

治療は、マッサージや弾性包帯、医療用スリーブやストッキングなどの着用で、むくんだ部分を圧迫しリンパ液を押し出して、症状を緩和するのが一般的です。

顕微鏡下リンパ管細静脈吻合術

一方、東大形成外科で取り組んでいる「顕微鏡下リンパ管細静脈吻合術」は、リンパ管を静脈につないで、リンパ液の流れを回復させます。ひじやひざ、手首、くるぶしの内側などを2~3センチ切開し、直径0.2~0.3ミリのリンパ管を顕微鏡でのぞきながら、0.05ミリの糸で静脈に縫いつけるという細かい手術です。

局所麻酔で傷口もほとんど目立たず、体への負担も比較的少ないです。保険も適用されている治療ですが、問題はすべての人に効果が出るとは限らないことです。

東大形成外科によると、これまでに足のリンパ浮腫で手術をした129人のうち、効果が表れやすい発症間もない患者35人では、31人が太もも、ひざ、ふくらはぎ、足首、足の甲のいずれかの周囲の長さが手術後、細くなったといいます。残る4人は変わらないか、かえって悪くなりました。

手術の効果を上げるためには、医療用のストッキングなどが欠かせず、きちんと着用することです。

リンパ浮腫は、手や足に出ることが多いですが、男女問わず陰部が大きく腫れ上がることもあります。圧迫による治療が難しい陰部のリンパ浮腫は、特に手術で効果が期待できます。

東大形成外科のような局所麻酔ではなく、全身麻酔で実施する医療機関も多く、手術法も細かい点では施設によって異なります。例えば、北大では、1本ずつではなく、数本のリンパ管を集めて血管の中に移植しています。

最近、特殊な装置を使えば、リンパ管の流れを拡大して、ビデオで直接確かめることができるようになっりましたので、どのリンパ管をつないだ場合に効果的かがわかり、さらに治療成績が向上する可能性があります。

関係医療機関 東大形成外科

下肢静脈瘤の「硬化療法」と「ストリッピング手術」

下肢静脈瘤

体の隅々から、二酸化炭素や老廃物を運んでかえる静脈は、ポンプの働きをする心臓から遠いので、血液が滞留しがちです。人間は立って生活しますので、静脈には逆流防止用の弁が何か所も付いていますが、これが壊れ、血液が足にたまるのが静脈瘤です。命にかかわることはありませんが、足のかゆみなどが続き、放置しますと悪化し、皮膚がただれることもあります。

患者には、長時間の立ち仕事を長年続けてきた職人や、妊娠・出産を経験した中年以上の女性などが多いです。

足の静脈血は、歩いたり階段を上ったりすれば、筋肉の働きに助けられて心臓に帰っていきます。足が「第二の心臓」と言われるゆえんです。しかし立ったまま働く人などは、足の血液が滞留しがちで、弁にも負担がかかります。妊娠した女性も、ホルモンの影響などで足の血液が、心臓に戻りにくくなり、弁が故障しやすくなります。

実際、最も逆流が起きやすいのは、足の付け根の内側にある表在静脈の弁です。ここは足の骨近くを流れる深部静脈との合流点で、ひざ下にできる静脈瘤の大部分は、表在静脈の血液を止めることで、治療できます。流れを遮っても、血液は合流部から深部静脈に迂回して流れるので、問題はありません。

「硬化療法」と「ストリッピング手術」

血管を固めてしまう薬を注射する「硬化療法」もありますが、再発しやすいです。治療には、静脈瘤ができた血管全体を壊れた弁ごと抜き取る「ストリッピング手術」が最も効果的です。ただし全身麻酔を使うため、従来は約一週間の入院が必要でした。

日本医科歯科大血管外科では、この2つの治療法を組み合わせることで、日帰り手術を行っています。太ももの静脈は手術で引く抜きますが、ひざ下には硬化療法を行います。傷口は、足の付け根とひざ下の二か所に約2センチできるだけで、目立ちません。

麻酔の使い方の工夫も、日帰り手術を可能にしました。局所麻酔で、治療が終わると患者は手術室を歩いて出てきます。病院内でしばらく様子を見た上で帰宅できます。長時間の立ち仕事や激しい運動を避ければ、その日から普通に生活できるといいます。

この局所麻酔はTLA(大量低濃度局所浸潤麻酔)といいます。太もも全体に、十分の一の濃度に薄めた麻酔薬を、通常の量の十倍程度つかいます。血管を引く抜く痛みや出血が減り、痛み止めの効果も翌朝まで持続します。

手術時間は40分程度です。手術から約一か月は、血流が滞るのを防ぐため、特殊なストッキングをはいて足を圧迫する必要があります。ストッキング代以外は、すべて保険がききます。

血管内治療

体の負担の少ない日帰り最新治療として、最近、ラジオ波や半導体レーザーを使った「血管内治療」も登場しています。局所麻酔(TLA麻酔)を使い、逆流が起きている静脈にごく細いカテーテルを挿入します。超音波診断装置で血管の形を見ながら、ラジオ波やレーザーの熱で静脈の内部を焼ききり、血液の流れを止めてしまう手術です。

局所麻酔を使い、血管を引き抜くストリッピング手術以上に、傷が小さくて済むのが特長で、手術時間はわずか15分から20分で終わります。

しかし残念ながら、まだ保険がきかないため、一部の医療機関でしか実施していませんが、すでに欧米では主流になりつつあるといいます。

大切なのは正しい診断で、下肢静脈瘤は症状に合わせて、様々な治療を選択できるようになりました。専門の血管外科を受診し、最適な治療法を選んでください。

関係医療機関 日本医科歯科大血管外科

リンパ浮腫の「複合的理学療法医療リンパドレナージ」

リンパ浮腫

リンパ液の流れが滞り、手や足などにたまってむくむのが、リンパ浮腫です。乳がんや子宮がんの手術、 放射線治療でリンパ管が傷つき、後遺症として起きることが多いですが、生まれつきリンパ液の流れが悪い 人もいます。

むくみは、外見も不自然で、重くなると歩けなくなったり、皮膚が象の皮のように硬くなる象皮病になる 場合があります。そのほか、体がだるい、疲れやすいなどの症状も現れます。

むくみは乳がんや子宮がんの手術後すぐに生じる場合もあれば、5年や10年経過してから発症する場合 もあります。症状はゆっくりと進行しますが、長期にわたり適切な治療を受けない状態で放置したり、頻繁 に炎症を繰り返すと象皮病にまで進む場合もあります。

このため、むくみを感じたらできるだけ早期のうちに専門医や主治医より適切な診断を受け、「複合的理 学療法医療リンパドレナージ」による治療を始めることが大切です。

「医療リンパドレナージ」は医療機関で

医療リンパドレナージは、エステなどで一般に行われているリンパドレナージやオイルセラピーなどとは 、明確に違います。「複合的理学療法医療リンパドレナージ」の施術者は、あんまマッサージ指圧師国家資 格保有者や医療従事者(医師・理学療法士・作業療法士・看護師)で、専門養成課程を経てライセンスを取 得しています。

複合的理学療法医療リンパドレナージ

以下の4つが「複合的理学療法医療リンパドレナージ」の基本要素となります。

1 スキンケア

浮腫が発症した皮膚は、乾燥しやすくデリケートで細菌感染を引き起こしやすい状態になっています。と くに感染症には注意が必要となります。

2 医療徒手リンパドレナージ

滞留したリンパを、適切な方向に向けて流してむくみを緩和し、また硬くなった皮膚をほぐし、皮膚の状 態を改善する効果があります。皮下にある毛細リンパ管を使い、ゆっくりと皮膚を動かすことによって、滞 留したリンパをリンパ節に返していきます。

普通のマッサージのように力を入れて筋肉を動かしてしまうと、リンパは効果的に動かないどころか、リ ンパ管を傷つける可能性もあります。また、一般的な美容エステなどで行われる、オイルなどの滑剤を用い たマッサージとは、手順も手技も全く異なります。

3 圧迫療法

治療の中で、最も重要なものは、この圧迫療法です。正しくドレナージによってリンパが排出されたとし ても、圧迫を加えなければ意味がありません。弾性包帯(バンテージ)や弾性着衣(スリーヴ/ストッキン グ)により圧迫していくことによって浮腫を解消していきます。

弾性包帯は滞留したリンパ液を排出する為に、弾性包帯・スポンジを用い、適切に圧迫を行います。弾性 着衣は改善された皮膚の柔らかさを、良好な状態に維持するために用います。

4 運動療法

無理をしなければ、リンパ浮腫だからといって、運動ができないなどということは決してありません。む しろ圧迫を加えた状態での運動は、浮腫の解消にはとても効果的です。

圧迫状態で運動する事により、筋肉がポンプとして働き、リンパ液の排出を促す事ができます。

治療施設の情報サイト

日本医療リンパドレナージ協会

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下肢静脈瘤レーザー治療

下肢静脈瘤

足の静脈の血液の逆流を防ぐ弁が壊れ、血流が滞って血管に膨らみができ、だるさやかゆみなどの 症状を引き起こすのが下肢静脈瘤です。治療に伴う傷痕や出血が少なくて済む下肢静脈瘤のレーザー治療の 一部が、2011年から保険適用となりました。

日本静脈学会理事長で、茨城県守谷市にある慶友会つくば血管センター長の岩井武尚さんによりますと、 心臓から全身に送り出された血液を再び心臓に戻す静脈には、血液の逆流を防ぐための弁が多数ありますが 、下肢静脈瘤の多くは、足の浅いところを通る表在静脈のうち、最も長くて太い大伏在静脈にできやすいと のことです。

高齢になるほど患者さんは増え、立ち仕事の多い人や、腹部の静脈が圧迫される妊婦などに目立ちます。 詳しい原因は不明ですが、弁が壊れる原因には歯周病菌が関係しているのではないかとの説もあります。

立ち仕事の多い人は、足踏みをして血流を良くすることが予防や悪化防止につながるほか、静脈瘤ができ ないよう弾力で足を締め付ける専用ストッキングもあります。

血管がモコモコと膨らんで見えるため、特に女性は外見上の悩みも大きいです。自然に治ることはなく、 重症化すると静脈瘤のある部分の皮膚が黒ずんだり、湿疹や潰瘍ができたりします。

下肢静脈瘤の従来の治療方法

従来行われてきた治療は、ストリッピング手術です。静脈瘤ができ た血管の内部に針金のような器具を入れ、静脈ごと引き抜きます。全身麻酔や局所麻酔による入院が基本で す。日帰り手術を行うクリニックも増えています。

足の血液の90%以上は元々、深い部分を通る深部静脈を通っています。ストリッピング手術で表在静脈 の一部を取り去っても、その分の血流は深部静脈を流れるため、健康に影響はありません。

1990年代からは、静脈瘤に、血管を内側から固める薬(硬化剤)を注射し、皮膚の上から圧迫してつ ぶす硬化療法が広がりました。

通院で受けられますが、つぶした皮膚の部分が黒くなる色素沈着が起きやすく、瘤が大きいと痛みも強く 、再発も多いいです。ただし「高齢者の場合は、大がかりな治療は受けず、硬化療法で十分という人も多い いです」と岩井さんは話します。

傷痕の少ないレーザー治療

レーザー治療は、局所麻酔で、レーザーを発する細い管を静脈内に通し、内側から焼いて閉塞させ ます。出血や傷痕は少なく、日帰りも可能です。

保険外治療では、片方の足で20万~30万円程度かかりますが、2011年1月、1種類の機器が保険 で認められました。自己負担3割なら5万円程度ですみます。

慈恵医大血管外科教授の大木隆生さんらは5月から、「銀座七丁目クリニック」(東京)で、レーザーを 中心にした下肢静脈瘤の治療を始めました。レーザー治療で逆流をなくし、目立つ静脈瘤は皮膚を少し切っ て除去します。大体1時間程度で終わります。血管が太過ぎる場合は焼き切れず、レーザー治療は適さない です。

大木さんは「レーザー治療を受ける際も、他の治療法の経験があり、病気をよく理解している医師が望ま しいです。保険がきく機種かどうかも事前に確認しておくべきです」と話しています。

関係医療機関

慶友会つくば血管センター

銀座七丁目クリニック


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