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睡眠の最新治療法


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不眠のむずむず脚症候群

むずむず脚症候群

むずむず脚症候群は1990年ごろから、米国で「レストレス・レッグス症候群(RLS)」という名前で 知られるようになりました。「レストレス」は「落ち着きのない」という意味です。

欧米では人口の5~10%の患者がいるとの研究もあります。日本での実態は不明ですが、医師の間でも この病気はまだ十分に認識されておらず、潜在的な患者は多いのではないかと言われてます。

自覚症状による診断基準のほか、睡眠中の筋肉の動きを測る筋電図や脳波検査などで診断します。検査に は通常、1泊2日か2泊3日の入院が必要です。

むずむず感が起きるはっきりした理由は不明ですが、別の病気などに伴って起きる場合(2次性)と、特 別な原因がない場合(特発性)があります。

2次性では、鉄欠乏性の貧血、腎不全で人工透析をしている人、手術で胃を切除した人や、妊娠中の女性 にも見られ、貧血なら、鉄分補充などで症状改善を図ります。

さらに見つかりにくいのが特発性の場合で、受診しても「気のせい」ですまされることもあり、睡眠障害 の専門外来で、ようやく診断される場合が多いです。

むずむず脚症候群の治療法

主に特発性の場合の治療に使われるのが、抗てんかん薬のクロナゼパムと、パーキンソン病の治療に使う ドーパミン受容体刺激薬です。なぜ効くのか確かな理由は不明ですが、症状を抑える効果があるとされてい ます。

ドーパミン受容体刺激薬は、脳神経に指令を伝えるドーパミンという物質の働きを補う薬で、欧米の治療 指針では第一に使う薬とされています。クロナゼパムは、眠気を誘う副作用も症状緩和に役立っています。

薬は、てんかんやパーキンソン病の治療に使う量の数分の一で済み、副作用の恐れは少ないですが、増量 が必要な場合もあります。どのくらいの期間、飲めばよいか、よくわかっていません。

いずれも、むずむず脚症候群の薬としては承認されていないため、現在は専門医が処方した場合などに特 例的に保険が適用されています。ドーパミン受容体刺激薬は、正式な承認に向けた臨床試験が行われる予定 です。

正確に診断されずに「不眠症」と言われ、睡眠導入薬や抗うつ薬を使うと、効果がないばかりか、かえっ て悪化することさえあります。日本睡眠学会は睡眠障害の専門治療施設を認定していますので、専門医を受 診してください。

関連医療機関 独協医大病院 

関連サイト  日本睡眠学会

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中、のどの上気道がふさがり、呼吸が10秒以上止まる状態(無呼吸)が、 1時間に5回以上起きる症状をいいます。患者は全国で推定200万人を超えています。

深い睡眠がとれないため、日中の眠気や疲労につながり、事故も起こしやすいです。肥満によって脂肪で 気道が狭くなることが主な原因とされていますが、近年、肥満以外にも高血圧、糖尿病などの生活習慣病と 密接に関係することが分かってきています。

睡眠時無呼吸症候群は、生活習慣病と併発する場合が増えており、生活習慣病の引き金になることもあり ます。循環器科や産婦人科などでも、高血圧や流産の原因として、この症候群が見過ごせなくなってきてい ます。

このため日本睡眠学会は、開業医などへの睡眠障害の診療知識の普及に努めるとともに、かかりつけ医か らの紹介を受ける睡眠医療専門機関の認定を2003年に始めています。

自宅で簡易検査を受けることもできます。睡眠時に呼吸が止まると、血液中の酸素量が減る。日本メディ カル総研が行う宅配方式の検診は、この血中酸素量を測る腕時計型の装置「パルスオキシメーター」を一晩 装着し、同社に返送するだけで結果が出ます。

睡眠時無呼吸症候群の治療法

治療の主な方法の一つが、気道がふさがらないよう、加圧した空気を鼻へ送り込む装置「CPAP(シーパッ プ)」を身につけて眠る治療です。自宅で実施でき、専門医療機関では約3分の2の患者が、この治療を受 けています。ただ、CPAP療法が保険適用されるのは、無呼吸が1時間に20回を超す中程度以上の患者に限 られています。

それより軽い場合は、気道を広くするため、睡眠時に、あごを前にずらすマウスピースに似た装置を口に はめます。また、鼻づまり(鼻閉)、へんとう肥大によって無呼吸が起きている場合、外科的手術を優先す る例もあります。

こうした治療で、深い睡眠がとれるようになり、症状は改善します。これに加え、運動と食事を組み合わ せ、根本原因の肥満解消を目指します。

関係医療機関 愛知医大病院

関連サイト  日本睡眠学会

耳鳴りの苦痛軽減治療TRT

耳鳴りの原因

「キーン」「ザー」といった雑音が聞こえる耳鳴り、半年以上続く慢性の耳鳴りは、重症だと不眠やうつ 症状を伴って日常生活に支障をきたします。

耳鳴りは、カタツムリの形をした内耳の器官「蝸牛」(かぎゅう)に加齢などで異常が起き、発生するこ とが多いとされています。完全に消す方法はなく、放置されることが多かったですが、苦痛を軽くする治療 「TRT」が試みられています。

苦痛軽減治療TRT

TRTはtinnitus retraining therapyの頭文字で「耳鳴り順応療法」と呼びます。1994年に米国で考案 され、ヨーロッパなどで普及して、日本では2002年に導入されました。

「耳鳴りの音自体は変わらないのに、急につらさが増すことがある。発生源は耳ですが、苦痛を悪化させ るのは脳内の現象と考えられます」と慶応大病院で難聴・耳鳴外来を担当する済生会宇都宮病院医長の新田 清一さんは話します。

私たちは普段エアコンなどの音や雑踏の音は意識しませんが、人ごみで自分の名前を呼ばれると、さほど 大きな声でなくても気づきます。「重要」「危険」と思われる音を脳が判断・選択しているのです。

耳鳴りは、疲れなどをきっかけに急に起きることが多いため、「耳が聞こえなくなるのでは」といった心 配が、不眠や冷や汗など自律神経系の反応を引き起こします。耳鳴りに気持ちが集中するほど、脳が「危険 信号」と過敏に反応する悪循環を生み、苦痛が増すと考えられます。

TRTの治療法は、2つの方法で行われます。

  1. 耳鳴りのメカニズムを知るカウンセリング
  2. 別の音を使って耳鳴りに慣れる音響療法

慶応大病院では、耳鳴りの強さや聴力などの検査後、耳鳴りがどうして起きるか、なぜ苦痛に感じるか、 といった知識を丁寧に説明します。患者の希望や状況に応じて臨床心理士の面談も行います。「受診者の約 8ー9割は軽症。説明を受けて納得し、苦痛が緩和される人が多い」と新田さんは話します。

重症患者には「音響療法」を行います。音を聞き続けることで、耳鳴りも「危険な音ではない」と脳に認 識させる目的です。ラジオの音や音楽でも効果はありますが、「TCI」という専用の機器があります。

補聴器に似た形で、ザーといった4種類の音が出ます。自分にあった音を、耳鳴りを完全に消さない強さ に調整、一日6-8時間装着します。1-2年は続ける息の長い治療です。保険はきかず、一台63000 円(税込み)しますが、同大では「苦痛が軽減した」「やや軽減」と答えた患者さんが、計約8割にのぼって います。

この治療を行う病院はまだ少なく、慶応大では患者の方が2-3か月待ちの状態といいます。耳鼻咽喉科 教授の小川郁さんは「耳鳴りをうまく忘れるには、静かな場所やストレスを避けること。TRT療法は、耳鳴り を小さくしたり消したりする治療ではないことを、理解して受けてほしい」と話しています。

関係医療機関 慶応大病院 済生会宇都宮病院

関連サイト シーメンス社(TRT療法を 行う医療機関を紹介)


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