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メラノーマ(皮膚がん)のダーモスコープ検査

メラノーマ(皮膚がん)のダーモスコープ検査

皮膚がんの一種、悪性黒色腫「メラノーマ」

ほくろが気になり、受診した皮膚科で「早めに取った方がいい」と言われたのに、別の皮膚科では「心配ありません」。そんな経験のある人は、意外に多いのではないでしょうか。

ほくろは皮膚に色素が集まったもので、通常は心配ありませんが、ごく一部に、がんの可能性があります。短期間で色や形が変わったり、大きさが5ミリ以上になったりした場合は、注意が必要です。

メラノーマは、腫瘍の厚さが1.5ミリ以下で、転移がない早期の場合、手術でほとんどが完治します。しかし、不用意に切除するなど外的な刺激で細胞がばらばらになりやすく、傷つけると転移が促されると考えられています。

このため、胃、大腸がんの検査のような、組織の一部を採って顕微鏡で調べる検査はあまり行われません。従来、医師が肉眼や虫めがねで観察して、がん化した「悪性」か、「良性」かを見分けていました。

しかし、これだけでは正確な診断は難しいです。そこで登場したのが医療用拡大鏡「ダーモスコープ」です。


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メラノーマのダーモスコープ検査

小ぶりな懐中電灯くらいの大きさで、先端の円形レンズ部を肌に密着させると、ほくろを10倍に拡大して見ることができます。レンズ部に組み込まれた電球で明るい視野を得て、中央に映る目盛りでほくろの直径を測ります。肌には超音波検査などで使われるゼリーを塗り、レンズ内の光の乱反射を抑えます。数10倍の拡大機能を備えた製品もあり、いずれも検査中の痛みはありません。

ダーモスコープの登場で、手のひらや足の裏のほくろの検査精度が格段に上がりました。足の裏などに数多く刻まれた「皮溝」(ひこう)と呼ばれる細い筋と、皮溝と皮溝の間で丘のように高くなった「皮丘」(ひきゅう)の観察が、診断に役立つことが分かったためです。

国立がんセンター中央病院、皮膚科医長の山本明史さんは「良性のほくろは、主に皮溝の部分だけに黒い色素が見られるが、メラノーマでは逆に、主に皮丘部に黒い色素が見られる」と話しています。

日本人のメラノーマの約三割は足の裏にできるため、この装置の意義は大きいのです。皮溝がはっきりしない肩や背中などでも、肉眼ではとらえきれないメラノーマ特有の色や形の変化が判別できます。

ところが、この検査はあまり普及していません。「装置の元祖」であるドイツ製品の販売会社によると、全国に約一万五千か所の皮膚科がありますが、販売台数は700台に過ぎません。検査に保険点数が加算されないことなどが原因です。

しかし、ダーモスコープはほくろの診察に欠かせません。受診する際は、事前にこの装憧の有無を確認するといいです。

日本皮膚科学会では、ホームページで皮膚科専門医の名簿を掲載しています。指導的な専門医がいる「教育研修施設」約570の病院名を知ることもでき、ダーモスコープ導入の有無を問い合わせる手がかりになります。


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関連医療機関 国立がんセンター中央病院

関連サイト 日本皮膚科学会

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