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腎臓がんの分子標的薬

腎臓がんの分子標的薬

腎臓がんの治療

腎臓がんになる患者は年に約1万2000人で、男性患者は女性の2倍と多いです。治療の基本は手術で、がんのある腎臓の一部または全部を摘出します。

がんが進行すると、肝炎に使われるインターフェロンやインターロイキン2による治療が主になります。手術で腎臓を全摘したうえ、注射を続けます。10~15%の患者さんで、がんの縮小が見られますが、効果は限定的で、延命効果は確認されていません。


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腎臓がん治療薬「ソラフェニブ」と「スニチニブ」

2008年に承認された二つの新薬「ソラフェニブ」(商品名:ネクサバール)と「スニチニブ」(商品名:スーテント)は、いずれも「分子標的薬」と呼ばれています。

飲み薬で、

1.がんを増殖させる物質の働きを抑える

2.がんに栄養を送る血管ができないようにして、がんを兵糧攻めにする

などの作用があります。

いずれもがん細胞の血管内皮増殖因子(VGEF)の受容体に働くチロシンキナーゼ阻害薬と呼ばれています。

2008年5月に米国の学会で発表された海外データでは、治療後、がんが再び悪化するまでの期間は、インターフェロンの5か月に対し、スニチニブは11か月と倍増しました。しかし、明確な延命効果は確認できませんでした。

副作用に注意が必要

一方、副作用はほぼ全員にみられました。国内での臨床試験では、手足が腫れたり皮膚が乾燥してはがれたりする「手足症候群」が、どちらの薬でも半分程度の患者に現れました。スニチニブでは、出血を招く重い血小板減少が、半分近くの患者に起きました。いずれも欧米人には少ない副作用で、日本人では注意が必要とみられます。

筑波大泌尿器科教授の赤座英之さんは「腎臓がんの分子標的薬が認可されたことは歓迎できますが、日本での臨床試験は人数も少なく、“仮免許”のようなものです。生存率を伸ばせるか、未知の副作用はないかなど、効果や安全性を慎重に見極めながら使う必要があります」と話しています。

承認の条件として、泌尿器科、抗がん剤治療の専門医がいる医療機関での使用に限られ、ソラフェニブは800例、スニチニブは1000例に至るまで、全患者を登録して副作用などを調査、報告することが義務づけられました。

新たなタイプの分子標的薬

2010年には、さらに新たなタイプの分子標的薬が2種類登場しました。「エベロリムス」(商品名:アフィニトール)と「テムシロリムス」(商品名:トーリセル)で、がん細胞の増殖や血管新生に作用するmTORタンパク質を阻害します。

エベロリムスは飲み薬で、ソラフェニブやスニチニブが効かなくなった場合に用います。テムシロリムスは、手術不能な進行がんに対し、第一選択として使うことができます。週に1回点滴注射をします。


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関係医療機関

筑波大腎泌尿器外科

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