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多様ながんに対応するラジオ波焼灼術(RFA)

多様ながんに対応するラジオ波焼灼術(RFA)

がんを発熱させて焼灼または凝固させる

外科手術と同じようにがんを物理的に取り除く治療法にラジオ波焼灼術(RFA)があります。高周波の 電流を金属製の針に流すと、高周波の作用によって針の周辺にある組織が発熱します。

このしくみを利用して、がんを発熱させて壊死(えし)させるのがラジオ波焼灼術です。

がんが熱によって凝固するのでラジオ波熱凝固法とも呼ばれます。

発熱といっても60℃ほどで、それほど高温になるわけではありません。熱によって周辺の組織に損傷を 与えることはほとんどありません。ただし、術後に体温が高くなることが起こりやすくなります。

からだを切開する外科手術に比べて、針1本を刺すだけなので、身体的負担が軽くてすむというメリット があります。

そのため、再発がんに対しても繰り返し治療が行えます。ただし、がんを取り残さないように、術後にC T検査による病変の確認が行われます。


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治療対象となるがん

すでに肝細胞がんでは、直径3cm以下のがんが3個以内であれば、ラジオ波焼灼術が保険適用となり、 広く行われています。

いっぽう、肺がん、腎がん、乳がんに対しては、まだ先進医療として臨床試験の段階です。また、転移性 の骨腫瘍(こつしゅよう)については、ある程度有効性や安全性などの評価が定まったとして、薬事承認へ の申請が行われています。

なお、同じように電流を利用する治療法として、ラジオ波を利用した不整脈に対する広範囲肺静脈隔離術 や、マイクロ波を利用した子宮内膜に対するマイクロ波アブレーションなどが保険診療で行われています。

肺がんのラジオ波焼灼術

肺がんで切除可能なものは、手術による切除が標準治療となっています。

肺がんへのラジオ波焼灼術は、高齢者や全身の状態が悪い人など、手術を受けられない人が対象となりま す。3cm以内の大きさで、原発性の肺がん、転移性の肺がん、どちらも治療の対象となります。

肺の内部は空気で満たされているため、他の臓器と違って周辺に熱を伝えにくくなっています。

がん病巣が高温になっても、熱は病変局所にとどまり、周囲の正常な組織への影響は少なくてすみます。 治療は、CTを使った画像検査によってリアルタイムにがん病変の位置を確認しながら行われます。

ラジオ波を流す針(RF針)を刺す方向を決めるために、まず細い針を対象のがん病変に刺します。その後 、その針に沿って直径2~3mmのRF針を刺し、腫瘍を中心に針の先を展開させ、ラジオ波を流します。 がん病変から熱が発生し、がん組織が壊死します。

腎がんのラジオ波凝固術

腎がんでは、全身状態に問題がなければ根治を目ざした外科手術が行われます。

手術には、腎臓をすべて摘出する腎摘除術と一部の切除を行う腎部分切除術(どちらも開腹手術あるいは 腹腔鏡下手術による)があります。

早期の腎がんで、大きさが4cm以下の場合には、腎部分切除術がすすめられます。しかし、全身の状態 が悪く手術が困難な場合や、どうしても手術を受けたくない場合には、身体的負担が軽い経皮的局所療法が 行われることがあります。そのうちのひとつがラジオ波焼灼術です。

腎がんのラジオ波焼灼術は、CTでがんの位撞を確認しつつ、背中から腎がんの病変部位に直径2mm程 度の針を刺し入れます。腎臓の外側に飛び出るようにできているがんや直径2~3cm以下の腎がんで、よ い治療成績を上げています。

しかし、がんが他の臓器や腎動脈、腎静脈に隣接している場合にはこの治療法は利用できません。

実施機関にもよりますが、施術後1~2日で退院できます。

肺がん、腎がんでは、今のところ手術と同じ程度の治療効果があると考えられています。しかし、新しい 治療法のために長期的な治療の効果はまだ不明であり、ラジオ波焼灼術の対象は、手術など他の治療法で治 癒が困難な人に限られています。

乳がんのラジオ波焼灼術

乳がんのラジオ波焼灼術に対しては、研究としての臨床試験として実施するべきだという見解を2010 年に日本乳癌学会が出しています。

早期乳がんの標準治療では、乳房の全摘または部分的な切除が行われるが、手術を希望しない人も多く、 乳房を傷つけない治療法としてラジオ波焼灼術を自由診療で行う医療機関もあります。

孔がんのラジオ波焼灼術は適応の基準がまだ定められていないため、どの大きさまでを治療対象とするの かは医療機関ごとに異なります。

しかし、がんの直径が2.1cm以上になると、再発率が高くなるという報告もされている。

そのため、現在、先進医療として行われているラジオ波焼灼術は、対象となる乳がんの大きさを直径1c mとし、安全性と有効性を評価するための臨床試験と位置づけられて行われています。

肝細胞がんのラジオ波焼灼術

肝細胞がんを切らずに治す「ラジオ波焼灼術」は、おなかに針を刺して電気の熱でがんを焼く方法で、3 cm以下の小さながんなら、手術と変わらない成績を上げています。ただ、熱で周りの臓器を傷つけるなど の事故も起きており、長所と短所をよく理解して治療を受けてください。

肝細胞がんのほとんどは、C型肝炎やB型肝炎が原因で、肝機能が低下する肝硬変が進むことで起きます 。再発しやすく、治療を繰り返すことが多いので、体に負担の少ない治療が重要になります。ラジオ波焼灼 術は、手術に比べ、体への負担が格段に少ないのが特長です。

高周波発生装置とコードでつないだ長さ20cmほどの電極針を、超音波検査の画面を見ながら肝臓に刺 します。はがき大の電極板を太ももに張り、電極針との間に電気を流すと、表面積の小さい電極針の周囲だ けが高温に熱せられる仕組みです。

1個の肝細胞がんを焼くのにかかる時間は、10~15分間です。肝臓の表面は痛みを感じるため、治療 中は痛み止めの薬を点滴します。数日後にCT検査を行い、がんが残っていないかどうか調べます。1週間 ほど入院する必要があります。

その他の針を刺す肝細胞がん治療

おなかの外から肝臓に針を刺す治療には、ラジオ波焼灼術のほかに、アルコール注入とマイクロ波治療が あります。

アルコール注入は、高濃度のアルコールでがんを死滅させる簡便な方法です。比較的細い針を使うので出 血も少なく、安全性は高いです。ただ、注入したアルコールが拡散し、がんの部位にとどまらないことがあ り、確実性に欠けます。

マイクロ波は、ラジオ波焼灼術と同様に熱でがんを焼くため、確実性が高いです。ラジオ波が電熱器なら 、マイクロ波は電子レンジのように高周波を針先から発生させます。ただ、焼ける範囲はやや狭いです。

針を刺す治療の9割はラジオ波で行い、がんが肝臓の表面に近く、周囲へ熱が及ぶ危険がある場合はアル コール注入治療、といった使い分けがされています。

肝細胞がんの治療法は、がんの大きさや数、肝機能によって選択されます。肝機能が比較的良ければ、が んが大型でも1個なら、一般に手術の対象になります。ラジオ波治療の対象は、3cm以下が3個以内」と 、がんがやや小さいことが条件です。

虎の門病院の場合、肝細胞がん治療のうち、手術が2割、ラジオ波焼灼術など肝臓に針を刺す治療が4割 ほどです。残りは、がんが大きい、肝機能が悪い、などの理由で、「がんに栄養を運ぶ血管をふさぐ」「抗 がん剤を動脈から直接注入する」といった治療になっています。


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