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アキレス腱断裂の新手術法

アキレス腱断裂の新手術法

アキレス腱の断裂

アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋と、かかとの骨をつなぎます。人体で最も太い腱ですが、体重がかかり、最も断裂しやすい部分でもあります。

断裂は20歳代後半から40歳代に多く、普段スポーツをしない人が十分に準備運動をしないと、起きやすいです。「父親が子供の運動会でリレーに出た時に断裂するのが典型的」と、北里大整形外科助教授の占部(うらべ)憲さんは話します。

治療には、手術で腱を縫う方法と、手術せずにそのままギプスで固定する方法があります。

手術にはさらに

1.皮膚を切開し、腱を元通りに縫い合わせる

2.切開せず針だけを通して縫う

の2種類があります。腱は断裂しても自然に修復するため、固定する方法も手術も成功率は高いです。

ただ、固定する方法は、再断裂の危険が比較的高くなります。針だけを通す縫合は小さな傷ですみますが、腱と並行に走る神経を傷つける恐れがあります。


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アキレス腱断裂の新手術法

占部さんは九州大在籍時に、佐賀整肢学園こども発達医療センター院長の窪田秀明さんとともに、皮膚切開で縫合する新たな手法を考案しました。従来は2本の糸を通して縫い合わせていましたが、6本の糸を通すことで、より強固に縫合する方法です。縫合後には、補助的に腱の表層も縫い合わせ、強度を高めます。手術は下半身麻酔で行い、6センチ程度切開し、約一時間かかります。

一般に、固定する方法だと1か月半程度、縫合する方法でも1-1か月半ほど、ギプスで足首をしっかり固定します。そのため、筋力が落ちるほか関節が固くなり、リハビリに時間がかかります。

新しい手法では、断裂した腱が糸でしっかりつながれているため、ギプスをせず、手術翌日からベッドで寝た状態で足首を動かすリハビリを始めることができます。手術3-7日後から体重の三分の一を足首にかける運動を始めます。不自由なギプスから解放されるうえ、早期のリハビリで、筋力低下や関節が固くなることを防ぐことができます。

1-2週後から装具をつけて歩行訓練し、6週後までに全体重をかけて歩けるようになり、退院できます。さらに3か月で軽いランニング、6か月までにはスポーツも可能になります。

他の治療法と同様に保険適用されます。ただし、従来の治療と比べ回復までの期間が短い人も、大差ない人もいます。

日本医大教授、伊藤博元さんは「手術も、手術しないで固定する方法も、どちらが優れているとは言えない」と説明します。一般に、スポーツ選手など筋力を落とさず早期復帰を目指す場合は縫合手術することが多いです。生活スタイルに合わせて治療を選ぶことが、重要になります。


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