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肺炎予防の肺炎球菌ワクチン

肺炎予防の肺炎球菌ワクチン

肺炎の原因

肺炎は風邪をこじらせて発症する場合が多く、年間の死亡数は約8万人以上(2002年の厚生労働省調べ)にのぼります。がん、心臓病、脳卒中に次ぐ死因の第4位です。その大半を占める高齢者は、インフルエンザにかかると肺炎を併発しやすいのです。

寝たきりの人は、食べ物を誤飲して肺炎を起こしやすいですが、健康な人でも細薗、マイコプラズマ、クラミジア、ウイルスなど様々な病原体によって肺炎を起こします。その中で最も多い肺炎球菌による患者の8割に、ワクチンが効きます。

アメリカの研究では、肺炎球菌ワクチンで、入院が必要な重症者を27%減らすことができます。気管支ぜんそくなど慢性肺疾患の高齢者にインフルエンザと肺炎球菌の両ワクチンを使うと、入院を63%、死亡は81%、それぞれ減少させるとの報告もあります。


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肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌ワクチン研究会代表世話人の松本慶蔵さん(長崎大名誉教授)の説明によりますと、「ワクチンの効く仕組みは、肺炎球菌は特殊な膜(きょう膜)に覆われているため、体内に侵入してきた細菌を取り込んで退治する貧食細胞(マクロファージ)では、殺菌されません。しかし、ワクチンを接種すると、きょう膜を攻撃対象として認識する抗体ができ、貧食細胞は肺炎球菌の周りに取りついて、菌を殺すことができる」とのことです。

特にワクチン接種が勧められるのは、高齢者のほか

●呼吸器・心臓の慢性病

●糖尿病

●腎・脾(ひ)臓機能不全、肝臓障害

などの患者さんです。

肺炎球菌ワクチンは、一般のワクチン注射と同じ要領で行い、どの季節に受けても良いそうです。毎年、接種しなくてはならないインフルエンザワクチンと違い、1回の注射で5年以上、効果が続きます。副作用は接種した方の数%に出る発熱、注射部位の痛みなどで、ほかのワクチンと同程度で、おおむね軽くすみます。

自治体による肺炎球菌ワクチンの助成

世界保健機関(WHO)が肺炎球菌ワクチンを奨励するなど、国際的に定着しています。アメリカでは、65歳以上の人の45%が接種しています。

一方、日本では、世界的に使用されているワクチン「ニューモバックス」(商品名)が発売されて20年以上たちますが、脾臓摘出患者以外、保険が適用されません。ワクチンを知らない医師も多く、接種を受けた高齢者は全体の0.5%に過ぎません。しかし近年、抗生物質の効かない耐性菌が増え、肺炎に最も有効な予防法として、ようやく注目され出しました。

全国に先駆け北海道の瀬棚町は2001年、高齢者に接種費用を一部助成しました。65歳以上の58%に当たる460人が、接種を済ませました。

瀬棚町は風カ発電をするほど風が強く、冬は日中でも氷点下10度という日も珍しくありません。町国保医科診療所長の村上智彦さんは「お年寄りは冬場、肺炎を恐れて家に閉じこもりがちでしたが、接種後、活発に外出するようになりました」と効果を強調しています。

全国約9700の医療機関で接種が可能ですが、全額自己負担の自由診療のため、医療機関によって6000円から9000円かかります。ただし、ワクチンの承認時、再接種の副作用や接種間隔が不明だったため、「再接種不可」とされています。アメリカでも当初同様の条件が付いきましたが、その後、4年以上間隔をあければ安全と確認され、再接種できるようになっています。

助成金の交付は、各自治体の保険課、保険センター等にお問い合わせください。

肺炎予防推進プロジェクト「怖いぞ、肺炎! 予防が大事」キャンペーン

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