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脳梗塞の新治療血栓回収治療

脳梗塞の新治療血栓回収治療

脳梗塞は薬物治療が中心

血栓を溶かす薬である「tPA(=ティーピーエー)」(組織性プラスミノーゲン活性化因子)の点滴治療は、受けた患者さんの4割が、3か月後にほぼ後遺症なく回復するとされています。

しかし、tPAは新たな出血の危険も高まることから、対象は以下の場合とされ、救急車で運ばれた患者さんの数%にとどまります。

1.発症から3時間以内である

2.CT(コンピューター断層撮影法)検査で出血の危険が低いと確認できる

それ以外は一般的に、脳のむくみを抑えたり血を固まりにくくしたりするなどの薬物治療が中心です。


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カテーテルを使う血栓回収治療

新たに登場した「血栓回収治療」は、脚の付け根の血管からカテーテルを通し、先端から、形状記憶合金でできたワイヤをらせん状に開くとともに、樹脂製の細い糸を出して血栓をからめ取り、引っ張り出します。

しかし、血栓回収治療が可能なのは、カテーテルが入れる太さの脳血管が詰まった場合に限られます。また、脳の損傷が進んだ後では効果がないため、発症から8時間までの患者さんを対象としています。

欧米では2000年代前半から実用化しています。米国の臨床試験では、tPAを使えなかった164人に行い、3か月後に身の回りのことを介助なしに行えるまで回復したのは36%でした。一方、死亡やまひにつながる脳内出血などの重い有害事象は9・8%にみられました。機器が血管を突き破って死亡した例もありました。

血栓回収治療は、細い血管や大きく曲がった部位に用いるのは危険で、ワイヤで血管を傷つける恐れがあります。虎の門病院(東京・港区)脳神経血管内治療科部長の松丸祐司さんは「安全に行うためには、十分に訓練した医師が行う必要があります」と話します。

2010年10月、同病院に救急車搬送された73歳男性は、当初まひの回復が見られたためtPA治療は見合わせましたが、その後症状が悪化しました。すでに発症から3時間以上たっていたため、血栓回収治療を行いました。右手にややしびれが残るものの、10日後には日常生活に支障のない状態まで回復しました。

松丸さんは「3時間以内なら従来通りtPA治療を優先し、血栓回収治療はtPAの効果がなかった場合や使えない場合に用います」と話します。

日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本脳神経血管内治療学会は合同で、この治療ができる施設の基準を定め、医師にはメーカーによる研修の受講を義務づけています。メーカーによりますと、約400施設の約600人(2011年1月6日現在)が受講を済ませています。


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関係医療機関

虎の門病院脳神経血管内治療科

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