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インスリンが突然枯渇する劇症1型糖尿病

インスリンが突然枯渇する劇症1型糖尿病

劇症1型糖尿病とは

糖尿病には、患者のほとんどを占める生活習慣病の2型糖尿病と、インスリンが分泌されないために起こる1型糖尿病があります。1型は糖尿病全体の5%程度と少ないですが、小児で多く、急性に発症するのが特徴です。

その1型の中でも、極めて急激に発症する「劇症型」があることを大阪医大内科助手の今川彰久さんらが2000年、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに初めて報告しました。

日本糖尿病学会は実態を把握する委員会(牧野英一委員長)を設置し、2004年2月、診断基準などを発表しました。委員11人の医療施設で過去10年間に1型患者の222中43人(19%)が「劇症型」とみられています。


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劇症1型糖尿病の特徴

劇症型の平均血糖値は約800(ミリ・グラム/デシ・リットル)と、健康人(食後で140未満)の5倍以上もあり、1000を超えることも珍しくありません。にもかかわらず、過去2か月の平均血糖値を示すヘモグロビンA1cは、平均6.4%(正常値5.8%未満)と、それほど高くないのが際立った特徴です。

これは極めて短期間にインスリン分泌がなくなることを示しており、通常の健診ではわかりません。

男女差はほとんどなく、平均発症年齢は40歳前後。女性は妊娠中や出産後の発症が多いのも特徴です。調査委の報告でも妊娠中に発病した場合、胎児は助からないことが多かったです。

患者は風邪や腹痛といった症状で受診することが多いです。ある男性(42)は口の渇きやおう吐で病院に行き、薬をもらって帰宅しました。翌日、救急外来を受診しましたが、帰宅するよう言われました。翌日こんすい状態に陥り、間に合わず死亡しました。

大阪医大内科教授の花房俊昭さんは、「急激に進行するため、治療が遅れると命にかかわります。多い病気ではないのですが、特に開業医は、この病気のことを頭に置いておいてほしい」と警告しています。原因は不明ですが、急激に発症することなどから、ある種のウイルス感染が引き金ではないかと疑われています。

発症時の治療には、生理食塩水の大量補液と、インスリン療法が行われる。症状が落ち着いた後もインスリンを分泌する能力は失われているため、普通の1型糖尿病と同様のインスリン治療が必要です。

1型糖尿病と2型糖尿病の違い

1型では、膵臓のランゲルハンス島という組織にあるB細胞が、何らかの原因で破壊されてしまい、インスリンを分泌することができなくなります。このため、血糖値を正常に保つために、インスリンを注射によって外部から補給する必要があります。

一方、2型では、B細胞から分泌されるインスリンの量が不足して血糖値が下がらないケースと、インスリンの量は十分あるのに肝臓や筋肉などでの効きが悪く(インスリン抵抗性と呼ばれる)血糖値が下がらない、2つのケースがあります。

全国で740万人と言われる糖尿病患者の95%は、食事や運動不足といった生活習慣による2型が占めています。


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