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PETによるがん検査の信頼性

PETによるがん検査の信頼性

PETによるがん発見率

小さながんでも発見率が高いと言われ、約100か所の医療機関に導入されているのが、画像診断装置PET(陽電子放射断層撮影)です。多くの施設でがん検診にも使われていますが、国立がんセンター(東京)の研究で、がんの85%が検出できなかったことが分かりました。「PETで異常がないからといって安心するのは危険」と、専門家は指摘しています。

PETは、放射性物質とブドウ糖を含んだ薬剤を静脈注射し、これが発する放射線を特殊なカメラで映像化する診断法です。がんは糖を取り込む性質があるため、がんのある場所が鮮明に映し出されます。

薬剤を注射して1時間ほど安静にした後、約1時間かけて全身を撮影します。放射線被ばくは多少ありますが、「全身のがんを一度に見つけることができる」と言われ、急速に広まりました。

元々はがんと診断された人の転移や再発を、調べるために使われており、保険も適用されています。健康な人のがん検診には保険がききませんが、十数年前から検診にも自費診療で使われるようになりました。

しかし、PETを検診に使っているのは、日本のほか韓国、台湾ぐらいです。欧米では、がん検診への有効性が示されておらず、実施されていません。

国立がんセンターに設置された「がん予防・検診研究センター」では、昨年1月までの1年間に、超音波、CT、PETなどを併用した検診を受けた約3000人のうち、約150人にがんが見つかりましたが、PETでがんがあると判定された人は23人(15%)に過ぎませんでした。

従来、組織に水分が多く糖が取り込まれにくい膀胱(ぼうこう)、腎臓、前立腺、胃などのがんは、PETでは見つかりにくいとされてきました。日本核医学会が2004年にまとめたPETがん検診の指針でも、がんの検出に「非常に有効」とされたのは、甲状腺や顔、首などにできる頭頸(とうけい)部がんと悪性リンパ腫(しゅ)の2種類しかありません。

ところが、この指針で「有効性が高い可能性がある」とされている肺がん、大腸がんのPET検診にも、国立がんセンターの調査では、効果に疑問を投げかけるデータが出ました。大腸がんが発見された人のうち、PET検査でがんが分かった人は13%、肺がんでも21%にとどまりました。

独協医大教授(PETセンター長)の村上康二さんは「多種類のがんを楽に見つけるPETの利点を生かすため、より効果を高める薬剤や装置の研究開発が必要」と話しています。


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がんの検査

現時点では、どんな検査を受ければよいのか。厚生労働省研究班の調査では、がんの死亡率を減らす効果があるとされる検診は

などがあります。

このほかにも、肺がんの場合、「高速らせんCT」と呼ばれる高性能CTで、早期がんの発見率が高まったとの報告があります。さらに卵巣がんに超音波検査、乳がんには超音波と視触診の併用検査、前立腺がんにPSA(前立腺特異抗原)と呼ばれる血液マーカー検査などが行われています。

しかし、これらの検査は、がんの発見率こそ高いものの、死亡率の減少につながるとまでのデータはありません。小さながんが発見されても、すぐに命にかかわるものは多くないからです。

PETの場合、がん治療後の転移がんの発見には効果があるとされ、有効な利用法について、さらに研究が必要になります。


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関係医療機関

国立がんセンター(東京)

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がんの治療


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