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卵巣がんの新治療薬「ドキシル」(一般名ドキソルビシン塩酸塩)

卵巣がんの新治療薬「ドキシル」(一般名ドキソルビシン塩酸塩)

再発卵巣がんの治療薬「ドキシル」

卵巣がんは、早期には自覚症状がほとんどなく、有効な検診法もありません。このため、半数は進行した状態で見つかります。治療は、手術に抗がん剤を組み合わせるのが基本です。抗がん剤はパクリタキセルとカルボプラチンを併用するのが一般的です。

しかし再発することもあり、治療を続けるうちに、これらの抗がん剤は効かなくなります。その際に用いる抗がん剤として2009年4月承認されたのが「ドキシル」(一般名ドキソルビシン塩酸塩)です。乳がん治療などに用いる抗がん剤アドリアマイシン(ドキソルビシン)を特殊な物質で覆い、がん細胞に効果的に届くよう加工しています。

順天堂大練馬病院産科婦人科准教授の荻島大貴さんによりますと、再発した卵巣がん患者の約20%で、がんが小さくなるなどの効果があります。生存期間をどれだけ延ばせるか明確なデータはありませんが、がんに伴う痛みなどの症状緩和が期待できます。

一方、手足の痛みを伴う赤みや、口内炎、吐き気、感染症にかかりやすくなるなどの副作用も伴います。荻島さんは「ほかの抗がん剤に比べれば副作用は少なく、治療の選択肢が増えた意味は大きいです」と話しています。


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ドキシルの承認

ドキシルは、再発卵巣がんの治療薬として1999年から米国など約75か国で承認されており、卵巣がん体験者の会「スマイリー」が承認を求める署名活動をしました。

会員の滋賀県の女性(44)は、2005年1月、下腹が張り、胃が押し上げられて食事が思うように食べられないなどの症状が出ました。進行した卵巣がんと診断され、同年3月に手術をして、その後半年間、抗がん剤治療を受けました。

しかし治療を終えてから半年後、がんの活動を表す血液検査の腫瘍(しゅよう)マーカーの値が上がったため、再び抗がん剤治療を開始しました。その後も、再発の兆候があるたび、計4回の抗がん剤治療を繰り返し受けています。

同じ抗がん剤を使い続けると効果が薄れてくるため、使える薬は確実に減っていきます。「元気で体力はあるのに、治療法がないと言われるのが一番怖い。使える薬が一つでも増えるのは、ありがたいです」と話しています。

その他の抗がん剤

日本婦人科腫瘍学会は07年、卵巣がんの治療指針をまとめましたが、再発時の治療薬として挙げた7つの抗がん剤のうち、2つは現在も保険がききません。

このうち、トポテカンは承認に向けて臨床試験(治験)が進行中です。もうひとつのジェムザールは、肺がん、すい臓がんなどには承認されていますが、卵巣がんには承認申請の予定はなく、一部の施設で臨床研究や肺がん転移などの名目で使われているのが実情です。

卵巣がんは40歳代後半から50歳代に最も多く、新規患者数は過去30年間で3倍に急増しています。がんが卵巣にとどまる1期なら5年生存率は約9割ですが、初期症状がなく進行して見つかることが多いです。10~20歳代の若い女性にまれに見つかる悪性胚(はい)細胞腫瘍も卵巣がんのひとつですが、抗がん剤が良く効き、治る場合が多いいです。

再発卵巣がんに使う抗がん剤

・保険で使えるもの

タキソール(一般名 パクリタキセル)

カンプトトポテシン(一般名 イリノテカン)

タキソテール(一般名 ドセタキセル)

ベプシド、ラステット(一般名 エトポシド)

ドキシル

・保険がきかないもの

ジェムザール

トポテカン


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関係医療機関

順天堂大練馬病院産科婦人科

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