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痙縮治療の「髄腔内バクロフェン療法」(ITB療法)

痙縮治療の「髄腔内バクロフェン療法」(ITB療法)

脳性マヒや脳卒中の後遺症「痙縮(けいしゅく)」

足や手、指などが筋肉の過度の緊張によって内側や外側にねじれたり、曲がったりする状態は、痙縮(けいしゅく)と呼ばれています。脳性マヒや脳卒中などの病気や、事故による脊髄損傷などをきっかけに、筋肉を動かす脊髄からの信号に狂いが生じて起こります。

治療法はこれまで、筋弛緩剤を飲む方法が一般的でした。しかし、口から飲んだ薬は脳や脊髄に届きにくく、重度の痙縮には十分な効果が得られませんでした。


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効果が高い「髄腔内(ずいくうない)バクロフェン療法」(ITB療法)

これに対し、髄腔内(ずいくうない)バクロフェン療法は、腹部に入れた直径約8センチ、厚さ約2センチのポンプから、1日0.1cc前後の筋弛緩剤「バクロフェン」(商品名:ギャバロン髄注)を、脊髄が通っている背骨の中の髄腔に直接注入します。口から飲む方法よりも、少ない投与量で効果が高く、眠気やふらつき、頭痛などの副作用を減らせる利点もあります。

この方法は、欧米では15年以上前に導入され、痙縮の一般的な治療法として普及しています。国内ではようやく2006年から、重度の痙縮の治療法として健康保険が適用され、約170万円のポンプや薬剤が使えるようになりました。

国内の臨床試験は、脊髄損傷や脊髄血管障害、脳性マヒ、頭部外傷などで、重度の痙縮に悩まされる25人を対象に行われました。その結果、24人の下肢の痙縮が軽くなるなど、高い改善効果が認められました。東京女子医大病院脳神経外科講師の平孝臣さんは「この治療の対象になる患者は5万人以上」と話しています。

薬剤は約3か月に1度、腹部に注射針を刺してポンプに注入します。1日の投与量などは、医師が操作するパソコン型の端末から、ポンプに電波を送って調整できます。ただし、電池寿命のため、5年~7年に一度、手術でポンプを交換する必要があります。

脳神経外科と整形外科が治療の窓口になりますが、治療を行う医師は、講習会の受講が義務づけられています。

平さんは「筋肉の緊張や痛みを取ると、リハビリの効果も上がります。今後は、リハビリ科との連携を深めて治療にあたりたい」と話しています。


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関係医療機関

東京女子医大病院脳神経外科

施設情報

ITB療法ウェブサイト

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