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脊髄損傷者専門トレーニングジム「ジェイ・ワークアウト」で歩行回復

脊髄損傷者専門トレーニングジム「ジェイ・ワークアウト」で歩行回復

脊髄損傷

脊髄損傷とは事故や病気で背骨の中を通っている中枢神経が傷ついて、腕や足が麻痺(マヒ)してしまうことです。現在、日本に10万人以上いると、いわれています。一度傷ついた脊髄は二度と再生しません。このため日本の医療界では一生、歩行は困難と考えられています。

脊髄損傷者専門トレーニング

アメリカのカルフォルニア州サンディエゴにあるプロジェクトウォーク社(Project Walk:P.W.)は、世界で初めての脊髄損傷者専門のトレーニングシステムを確立させました。1999年に設立され、これまでに約2000人の脊髄損傷者を歩行可能にした実績があります。その効果を紹介した論文は科学雑誌「Spinal Cord」に掲載され、全米で注目されました。

日本でも2007年に東京都江東区豊洲に、脊髄損傷者専門のトレーニングジムが設立されました。ジムの名前は「J-Workout(ジェイ・ワークアウト)株式会社(J.W.)」、代表者は渡辺淳さんです。

渡辺さん自身も10代のころ、脊柱管狭窄症にかかり2年間歩くことがでなかった経験をもっています。病気が治ったあと、アメリカに渡って、プロジェクトウォーク社に入社しました。2006年にアメリカ人以外では初めて、最高クラスのトレーナー「スペシャリスト」の資格を取得しました。

トレーニング方法

その方法は、歩くための基本的なトレーニングとして、脊髄損傷者を宙刷りにして歩行マシーンに立たせます。そしてトレーナーが声をかけながら足を動かして、歩く動作を反復させます。

これは、歩くために足をどのように動かすか、意識させるトレーニングです。

このレーニングがどのような理論で、行われているのでしょうか。

脳からの命令は背骨のなかの中枢神経を通って、手や足を動かしています。この脊髄が損傷すると、脳の指令を伝えるルートが途絶え、手や足が麻痺してしまうのですが、一度切れた神経は二度とつながりません。

しかし少しでも神経が残っていた場合、その残った神経に歩行機能を再教育するというのが、このトレーニング理論なのです。このため残った神経に歩行機能をおぼえ込ませるために、同じ動作を何千、何万回と繰り返します。

そしてこのトレーニングのもう一つの特徴が、使われなくなった筋肉をトレーニングすることです。

本人の意思でなくとも、他人に手足を動かされることで、筋肉はそれにつられて動きます。このため他人が筋肉を動かすことでも、筋肉がつくそうです。

車椅子生活が続くと、使わない筋肉は衰えやせ細ります。歩ける日のために、トレーナーの助けを受けながら筋肉を鍛えます。

従来の日本のリハビリ

日本の医学界では、一般的には脊髄損傷になった場合、もう歩けるようには、ならないと考えられています。このため車椅子で生活ができるリハリビが行われ、歩行ができるためのリハリビは行われていません。

ジェイ・ワークアウトの新たな取り組み

2010年6月からジムの7階に、渡辺さんは就労支援センター「プロジェクトワーク」を立ち上げました。ジムは脊髄損傷者の身体の状態を把握していますので、それに合わせて仕事を探すことができるのです。

プロジェクトワークは、「就労移行支援事業所」として東京都から認定を受けています。パソコンソフトの使い方やマナー、面接訓練、英会話など就労に必要な知識や技術の習得のためのプログラムを提供するほか、就職活動や職場定着のための支援を実施しています。

また2009年から新しい試みとして、二分脊椎(にぶんせきつい)などの先天性の病気によって歩行困難になった、脊髄損傷児の受け入れもはじめました。アメリカのプロジェクトウォーク社では先天性の病気の児童は、受け入れ対象外ですが、日本のジェイ・ワークアウトは子供の関節や筋肉などを細かくチェックして、歩行回復の可能性を探ります。

関連医療機関

ジェイ・ワークアウト(東京都江東区豊洲1丁目2-34TNKビル 5・6F)

2011年に大阪で2つ目のジムが設立予定になっています。

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